そのオトコ、要注意。
アイスとクリームとあんこをせっせと口に運ぶ。
早く食べ終わらないと、後の2つがアイスと呼べない代物になってしまう。
そんなのアイスに失礼だ。
無心で頬張っていたあたしは、ふと視線を上げて。
…ぎょっとした。
(え、…ええぇ!?)
なんだか、廊下を行き交う皆さんが一様にこっちを見ている…?
……、何故。
何もしていないのに、ひどく悪いことをしているような気さえしてくるから不思議だ。
机にはアイスのカップが3つ。
あたしは一人。
(……………はっ!)
まさか…!
女一人で踏ん反り返って(そんなつもりはないが)、アイス3つも暴食してやがる。
なーんて、思われてないか!?
……君たち。
舞台から下りたあたしは客寄せパンダではないぞ。断じて。
ふふふ、と不敵な笑みを零しつつアイスを口にする姿がよほど奇妙だったのか、若干引かれつつあるのを尻目に黙々と食べる食べる……。
と、一際ざわめきが大きくなる。
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