そのオトコ、要注意。


「ね!その人、どんなカンジだった?」

いきなりそんな話を始めるから、思考をこっちに戻すまでちょっとかかった。


…んーと。

「金髪と青目」

「それから〜?」


えぇ…

「背はあたしが見上げるようなカンジでー…」

「うんうん。それで?」

……。

「以上ッ…かな?」

こういうときは笑ってごまかすのが一番!


「はぁー?そんだけー?」
環奈が肩を揺さ振ってきた。

うぇー。
やめてくれ〜…

「もっとなんかない訳!?これからラブに発展、とかあるかもなんだからさぁ〜」

「えぇ!なんでいきなりそんな飛躍してんの!そんなこと言ってないし!思ってもない!」

悪いけど、顔だって曖昧なのに、そこから発展なんて…ありえない!

「だいたい、もう会わないでしょ」

半ば呆れ顔で環奈を見ると、彼女は悪戯に笑った。

「さぁ。運命の神様っていうのは気まぐれですから」

意味深な言葉に目を瞬く。


「っていうか。なんでそんなにも顔だけ覚えてないのよ」

せめてカッコイイかよくないのかだけでも…、なんてぶつぶつ言ってる。


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