そのオトコ、要注意。

それは突然に



「いやぁー…でも、おっどろいたわー」

始業式も終わり、あたしと環奈は教室の片隅で話している。

そのボヤキに「あたしも」と同調。

環奈には、彼が“例のあの人物”であることは話した。

「こんなことってあるのねぇー」

「あたしだってまだ信じられないよ!」

まさかまた目の前に現れるなんて!

「どーすんの?あんたのお隣になったけど」

「どうって…」

彼はあたしのお隣サン。
転入生のお約束とも言える、窓側・一番後ろの席が憎いことにちょうど空いていたのだ。

彼は今その席で、大群の女子の中心にいる。

あたしと環奈はその波に放り出されて…、今に至るわけだけども。

「でも転入早々、災難よね〜。あれじゃあ、蟻に群がられた砂糖菓子みたいで見てるこっちがイヤんなるわ。まぁ、そうしたい気持ちもわからなくもないけどさ」

あんだけ顔が良ければ…、と一人で分析を始める。

女の子を蟻に例えるのは心苦しいが、環奈の表現が一番合っているように思えた。

彼には気の毒な話だとは思うけど…。

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