そのオトコ、要注意。


―――放課後。

みんなが帰った後の教室にあたし達はいた。

さっき帰る前に環奈なんて「報告、よろしくー」って。

完全に面白がってるし……
ここは助けに入るのが心の友じゃないのか!


それよりも…。
この後どうしたら良いのか……。



「おい」



「ハ、はいっ」

うっわー…。
声、裏返っちゃった…


頬に朱が走るのを感じながらも慌てて有栖川くんのほうを向いたあたしは、目に移る光景に思わず息を飲んだ。


窓からサンサンと降り注ぐ太陽の光に照らされた艶やかなブロンドは、人工物のそれとは違う柔らかな煌めきを放っていた。


綺麗な髪。
全然傷んでない。
自毛ってホントだったんだ〜…。

瞳の青も映えてて見事なコントラストを描いていた。


「…あのさ。あんたが案内してくれんじゃないワケ?」


っは!
なに、あたしは見とれてんだ!
ついつい見入ってしまった。


「…た、只今ッ!」


あたしはスタスタと歩き始める背中を追いかけた。


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