そのオトコ、要注意。
帰路の途中。
ない頭捻って、あたしなりに考えてはみた。
でも考えても考えても当て嵌まる答えは出てこなくて。
逆に浮かんでくるのは、意地悪そうな笑みをこぼす彼の顔。
って!
何をあたしの脳内までくっついてくる!
全く、油断もスキもあったもんじゃない!
これ以上考えても結果は望めそうもないし、正直あいつの顔を消すので精一杯で、とりあえずは一時休戦ってことで。
――――…
「お父さーん?」
「あらやだ、美羽ったら。帰って来たら『ただいま』でしょ。お父さんならまだよ。でも確か今日は早く帰って来るんじゃなかったかしら?」
「そっかぁ〜」
だよねぇー。
一応聞いてみただけですぅ。
そんなあたしの反応を見てなのか。
「なになに美羽。もしかして難しい英語の課題でも出されたの?」
…お母さん。
そりゃあたしの英語の成績は壊滅的だけどさ、何でもかんでもそこに結び付けるのやめようよ。
意外と繊細なんですよ?
あたしはその質問にはあえて答えず、自分の部屋に戻った。
階段下からいい年してぶーたれた声を出す母は、まぁほっといても無害だろう。
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