そのオトコ、要注意。
…お父さんを越える男なんてこの世にいるのか?
なんて事を夢見てんだ、幼い頃のあたし!
「今日、うちのクラスに編入生が来たんだ。それでね…」
「もしかして、ルイ君、のことか?」
……………。
「ええぇッ!なんで名前…っ!」
「やっぱりか。美羽の学校だったんだな」
『やっぱり』とは…?
「朝、少し話しただろう。美羽の学校かもなー、って話」
覚えてる?と視線で聞かれ、コクコクと首を縦に振る。
「それって、彼のことだったの…?」
ん?ってことは……
「そうだ。ルイ君はうちの社長の息子であり、『有栖川グループ』の会長のお孫さんだ」
どっひゃっあぁーー…
偉いとこのボンボンだったなんて…。
「えっ、でもでも彼、金髪だし青い目だった…し」
「なんだ、美羽はなにも聞いてないのか?彼はハーフだろう」
「あっ…と、そうでした」
あたしがまだ驚いた様子でいるとお父さんが微笑んで続けて教えてくれた。
「髪や瞳の色素は夫人譲りだな。夫人はイギリスの方なんだ。だからルイ君も先日までイギリスに住んでいたらしい」
…あれ?
でもなんで向こうもお父さんのことを知ってるのかな。
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