そのオトコ、要注意。


簡単にキスさせる女、とか軽蔑されちゃうのかな。

環奈に限ってないとは思うけど、自信がない。
出来ることならこの事実は封印して墓場まで持って逝きたい。

――環奈に白状した時点で無謀なんだろうけど。

頭の中で自分自身に失笑していると、案の定環奈が食いついたみたいだ。
それも先程までの遠慮がちな態度とは裏腹に、ものすごい勢いで。


いつ、ドコで?
どーして?
どーゆー経緯で?
どんなカンジだった?
やっぱりレモン味?


れ、レモンって…

「…っ!あ、味なんて覚えてる訳ないでしょーがぁー!」

一気に赤面するあたし。


あの状況でそんな余裕なんかあたしにある訳がない。キスに味なんてあるもんなの?

そもそも、ここはもっとデリケートに扱ってもらえないかな?!
これでも勇気出して言ったんだから!

…でも、やっぱりどこかでホッとしてる自分がいる。
ありがとう、環奈。



に、しても。

「味なんてするもん?」

「やーね、ジョークよジョーク♪」


…そんな風に聞こえなかったんですが。



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