そのオトコ、要注意。
「ほらー、席着けお前らー。俺が大変だろうが」
みんなはそれに総ツッコミ。
「仕事しろよ給料ドロボウ」
「怠けんなー」
爆笑と共に騒がしくなる。
環奈はすでにすがやんに向き直って笑っている。
…そんな中。
あたしは一人、耳まで真っ赤にして俯いてた。
『キスもごちそーサマ』
耳元であんなこと囁かれたお陰で――
でも誰にも気付かれなかったみたい。
結局、そのまま隣を見る事が出来ないまま、午後のHRの時間になった。
議題は約2週間後の土日に行われる学園祭について。
ほんとはHRなんて今は考えられる心境じゃなかったけど、すがやんに「笹原ぁー、寝てんじゃねー」と目敏く見つかりしぶしぶ参加。
「じゃー、まずはクラスの代表者である実行委員を決める」
すがやんの言葉に教室内がざわめく。
フツーやりたくないよね、こんな面倒なこと。
みんながお互いに擦り合い戦を勃発しようと囁きあっていたら。
「じゃ、俺、やろうかな」
隣から声が上がる。
「おっ。なんだ有栖川、やってくれるのか」
「早くクラスにも馴染みたいですし」
出た。
瞬殺王子スマイル。
「んなら、女子は―――」
瞬間、教室内が沸いた。
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