そのオトコ、要注意。


「――よろしくね、笹原さん」

もしもし?
今『笹原』って聞こえたんですが。

気のせいかと思って顔を上げると、確実にこっち向いてあたしを見つめていた。
底意地の悪い笑みを浮かべて。


はぁぁああッ!?

「なんッで、あた――「おっ。じゃあ笹原でけってーい、と」

!?

「ちょっ、待っ「待ちませ〜ん。よろしく頼むな、実行委員さん」

なんなんだ、この徹底ブリは。
有栖川ルイと同盟でも結んでるんですかね!

チラと環奈に視線をやると、微かに肩が揺れている。
どうせ笑いを耐えているんだろうけど。


そこでハッと気がつく。
あんなに白熱してた女の子達の反応は―――いい訳がない。

各々怒った形相で刺すような視線であたしを見る。

当然だよね。
こんなの納得いく訳ないもん。


「ホラー。早く前出た出た。進行役なんだから」

――まず、何より当事者が納得いかないんだから!
くそぅ、覚えてろよ!


内心毒吐きながら渋々すがやんに従った。


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