そのオトコ、要注意。
だけど、悪夢はこれだけでは終わらなかった。
その後。
クラスのいろいろな意見を出し合った結果、出し物が決定した。
あたし達がやるのは、演劇部門で『白雪姫』。
魔女からもらった毒リンゴを食べてしまった白雪姫は眠りについてしまったが、王子様の口づけによって再び目を覚ます――という誰もが知っているプリンセスストーリー。
もちろん、誰が白雪姫と王子様をやるか、これまた名乗り出る人が多くて揉めに揉めた。
こんなに目立ちたがる人たちのクラスだっけ、うちは。
あたしはというと。
環奈のもとで事の経過を見守っていた。
「こりゃまだまだ決まりそうにないなー」
「あんたがさっさと意見まとめなさいよ、仮にも委員でしょ?」
「ゔ…そりゃそうだけど」
だってさっきから全部有栖川ルイがやってくれてるし。
それにこの大論戦の中、突っ立ってるのもヤだし。
すがやんはあたしと有栖川ルイに仕事を押し付けてとっくにバックレた。
ほんっと給料ドロボーもいいとこだ。
「あのさ」
そんな大きい声でもないのに妖力でもあるのかってくらい一気に鎮静化して、声の主に視線が集まる。
「男子は白雪姫をやって欲しい女子に、女子は王子役やって欲しい男子に投票…ってカンジはどうかな」
甘い微笑み付きで。
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