そのオトコ、要注意。
赤くなるのは毒リンゴのせい…それとも
「だーかーら。言ったじゃない。『覚悟したほうがいい』って」
あの時言われたことをもう一度言われた。
あの大抜擢から二日目の朝。
あたしのクラスは演劇をやることもあり、早朝にも関わらず結構な人数が準備に勤しんでいる。
それはとってもいい傾向なんだけど…!
「ちょッ、も…無理ぃ〜!」
今、あたしはちょっと、いや、だいぶ!
緊急事態にございやす。
衣装班に「採寸するから」って、役者担当は順々に呼ばれて、あたしは今その順番なんだけど。
「あひゃっ!ぬぅお!?」
あたしはどーしてもくすぐったくて、さっきから奇声を発していた。
「美羽ちゃ〜ん…暴れないでよ〜。奇声までつけちゃって」
あたしの衣装担当の前園優花(マエゾノ ユウカ)が困ったように言う。
「ゔぅ………」
だって…、とぶつぶつ愚痴るあたしに前園ちゃんが喝を入れる。
「姫がそんなんじゃダメよ!もっと優雅に!可憐に!さっ、もう一回!」
「ま、待ってって!前園ちゃーんッ!」
環奈ぁ…、『覚悟』ってこーゆうことだったの〜!?
ここに来る前に言われた言葉を思い出す。
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