そのオトコ、要注意。
それよりも。
「あんなの引き受ける自信ない…」
勝手に余所でやって下さいって。
「しかも、あたしは姫役なんてやりたくもないし…」
あのねー、と厳しい顔で環奈が諌める。
「自ら望んでそうなったかなんて、彼女達にはどーでもいいのよ」
だから見境ない子なんてたくさんいるんだから冗談抜かしに気をつけなさい、とまるでお母さんみたい。
環奈の心遣いは有り難いんだけど…
「『気をつけろ』って言われてもねぇー…」
はぁ、と思わず溜息。
あ。
「って、このクラスにもそーいう有栖川信者みたいなの、いなかったっけ?」
そーいえば、あたしばっかりズルイだのなんだの、あんまりいい顔はされてなかったような…
「このクラスの女の子ならもう心配いらないわよ」
まぁ、あーんな光景見せつけられちゃーね、と今度はニマニマ笑ってこっちを見る。
「え…、なに」
「あら。あんた、なんも感じなかったとは言わせないわよぉ〜。あんなイケメンハーフにあ〜んな笑顔で頭なんか撫でられちゃって〜」
やけに『あんな』を強調された。
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