そのオトコ、要注意。


憂鬱な気分のまま気がついたら昼休み。

あたしは職員室の前で立ち尽くしていた。

さっき環奈に「ああ見えて、すがやんナニするかわかんないわよー」って脅されて、さらに沈む。

ヒトゴトだと思って…


ぶつぶつ言いながらもドアを開けた。

人が疎らだったので、すがやんを発見するのに苦労はしなかった。


「失礼しまーす」

「おっ、ちゃんと来たか」

そりゃあ、不穏なこと言って脅されましたからね?

「それより。すが、じゃなくて…センセイ。用件は」

「ああ」
実はな、ホラ、とある冊子を渡された。

「これって…台本?」

その冊子は演劇部のものを基に、何人かが作ってくれたものだった。

もう既にみんなに出回っているはずだ。

「あたし、持ってますよ?」

まぁ中を開けてみろ、と言われペラと一枚めくる。


別段変わったところはない。

え?、とすがやんを見るも、その顔はもっとよく見ろと言っていて、今度はパラパラとページを送る。


はっと息を呑んだ。

驚いて、すがやんに目を向ける。


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