そのオトコ、要注意。

学校に戻って来たらちょうどお昼休み。

先生に支えられながらひょこひょこと玄関口から入ると。

「…あ」

そこには壁に寄り掛かっている環奈がいた。

あたしたちに気づくと焦ったようにあたしの名前を呼び、すぐに駆け寄って来てくれた。

先生とは反対側にまわり、あたしを支えてくれた環奈に応えたかったけど、それが結構しんどい。

「あら!西森さんが来てくれたのなら、私はちょっと職員室に寄って報告してきていいかしら。西森さん、あとをお願いできる?」

環奈はすぐさま了解の声を上げ、あたしに付き添って保健室まで来てくれた。


「心配したんだから」

あたしをベッドに座らせて、自分は丸い椅子に座った環奈に「ごめん」と返す。

「平気なの、足」

「とりあえずは2、3日は安静に、って。本当は松葉杖も勧められたんだけど、そんな大袈裟にしたくなくってさ」

あはは、と笑うも環奈は厳しい表情のまま。

「学園祭は?」

「なんとか間に合う、…かな」

というより間に合わせなきゃ。


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