そのオトコ、要注意。


「……ほら。足出せ」

そう言われて顔を上げると有栖川ルイの手には軟膏やら湿布やら包帯やら。

それに瞠目していると「なんて顔してんだよ」と言われてしまう。

「その足、そのままにしとくつもりか?」

別に俺は構わないけど、と言われ慌てて靴下を脱ぐ。


患部を見てみると右足首が腫れて、赤くなっていた。
痛みは我慢出来なくはないけど、少しでも気を抜くと顔を歪めてしまいそう。


「じゃ、…失礼」

有栖川ルイが足首に静かに触れる。
途端に走る鋭い痛みに顔を歪める。

「あー…だいぶ熱持ってんな。……捻挫か?」

ちょっと我慢しろよ、と慣れた手つきで軟膏を塗り始めた。

独特の臭いと痛みに堪えながら、…ずっと気になっていたことを聞いてみた。


「ねぇ…。どうして学校来てなかったの」


本当はもっと聞きたいことがたくさんあった。

どうして助けてくれたの?
どうしてさっき怒ってたの?


ねぇ、どうして?


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