そのオトコ、要注意。
いつまで経ってもこない衝撃と温かい床におかしいと思って、うっすらと目を開けて見ると。
「…あっ、ぶねぇ……」
目の前には有栖川ルイの胸元。
案の定、下敷きにしてしまっていた。
「ごっ…ごめッ」
全体重を預けてしまって、また重たい思いをさせてしまった。
(どうしてあたしってばこうなの!)
しかも最悪なことに、痛みが疼いて立ち上がれない。
「なにやってんだよ」
呆れながらも小さい子にするように抱き上げ、再びベッド上に座らせてくれる有栖川ルイ。
「ごめ、ん…なさい」
迷惑かけてばかりの状況にさらに落ち込む。
そんなあたしに短くため息をつくと。
「ほら。まだ全部終わってねーから」
あたしは黙って従った。
ヒンヤリとした湿布を貼られ、包帯を巻かれる。
「…なに、お前自分が重いって気にしてんの」
白い帯で足が覆われていく途中、そんなことを問われた。
「…しかも。それで俺が怒ってる、そう思ってるわけだ」
アホかお前、そう言われちょっとムッとする。
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