そのオトコ、要注意。

考えてみれば―――

友達?
いやいや、そんなありきたりな答えでは彼女たちは満足する?…しないでしょ。
それに、あたしたちが友達かって聞かれたら、それはそれでビミョーに違う気がする。

父親が彼の家の会社に勤めてて…。
だからってその子供同士が親しいわけとは限らないか。
ましてむこうは大企業グループの息子、こっちは一介の会社員の娘なんだし。

それならいっそのこと。
チューまでした仲なんですぅ〜…なんて。
こんなこと言おうものなら、命が危ない。


……じゃあ、ナニ?


「ちょっと!いい加減、はっきりしてくれない!?」

苛立った声とともにジリジリとにじり寄ってくる。
ちょっとお待たせし過ぎたらしい。

こ、この状況はマズいのでは…?

ただでさえ4対1の不利な人数比に近距離からの攻撃となると、圧倒的に分が悪い。

しかも。

(皆さん、揃いも揃って…顔、おっかなすぎです)

本当に有栖川ルイの近くにいた、あの可憐な女子達なんですか?

距離をとろうと下がろうにも背後には壁しかなくて。

背筋に冷たいモノが流れた気がした。


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