そのオトコ、要注意。


逃げられないあたしを取り囲む彼女たち。

「ちょっ!待った待った!もっと友好的にいきません!?」

宥めるつもりで言った言葉が逆に気に障ったらしく。

「『友好的』…?何言ってんの、あんた」

「この状況でなんでそうなるワケ?」

「やっぱり身をもってわからせてあげなきゃいけないみたいね」


もう何を言っても駄目らしい。

そうわかったとき、あたしの中でなにかが少しだけ震えた気がした。


「あんたにルイくんは相応しくない」

目の前に立つ彼女たちの内の一人が一歩歩み寄り、そう吐き捨てながら腕を振り上げた。


――叩かれるッ!

あたしは反射的に顔を背け、目を固く閉じた。


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