騙してみせて!
細い身体。

知的で生真面目な紺野くんのどこに私を引っ張って走る力を秘めているのか……


こういう時、可愛い女の子だったらドキドキしたりするんだろうな、って思う。

でも、
あたしは可愛い女の子じゃない。

昼食を奢ってもらう為だけにデートしてる女。タダ食いしてる最低な女。


あたしは貧乏。
紺野くんは塾も通えるような金持ちのぼんぼん。

彼のお小遣いは、あのボロボロアパートの一月分の家賃よりも高くてあたしはそれを稼ぐ為に必死なのに、彼はポンと出せるうえにお釣りまでくる。

表面上釣り合いのとれたお似合いカップルなのに、蓋を開けてみれば凸凹カップルで。

世の中って不公平。
だからあたしは、自分の手で富裕な奴らをどん底に落としてやるんだ―……
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