騙してみせて!
いつもの公園。

仮面を外すことを決断したあの日から一週間後の今日、あたしは紺野くんを呼び出した。


「紺野くん―!!」

ナツエにしてはとても大きな声。

案の定、紺野くんはびっくりした顔をしてあたしを見る。

それでもあたしは、何食わぬ顔で、紺野くんのもとへ走る。


「おはよう」

朝10時。
時間的には朝というのには微妙だけど、挨拶的に"おはよう"の時間帯。

「……」

だけど、あたしは返事をしない。

「……」

「……」

「…どうした?」

返事をしないあたしに困惑する紺野くん。

そりゃそうだ。誰だって挨拶をされて無言な人なんていないだろう。

ましてや、礼儀正しいナツエ。
挨拶をしないなんて考えられないこと。


「……ううん、おはよう」

あたしは先程と打って変わり、小さなか細い声で返事した。
< 22 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop