騙してみせて!
綺麗な部屋に連れて行かれる。

私の部屋とは正反対。


でも、この部屋も私の部屋もそんなに相違ない。

ただ、綺麗か綺麗じゃないか。

それは紙一重。


「すごい! 綺麗…」

窓から見える景色。

それはいつ見ても変わらない美しさ。

人間の秩序により守られてきた、ゴミが落ちているような海岸でも汚染され濁った海でもないエメラルドグリーンの海。

誰にも入ることの許されない聖域。


あぁ…やはりここはあたしの"儀式"にびったりな場所だ。

"儀式"を行う場所の隣に広がるのは海という"聖域"

誰にも入ることの許されないあたしの"聖域"のように。

ただ"聖域"から煌めく光を放っている。

淋しく、儚げに――…
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