星は輝く・・・
放課後、心と佳保に図書室の本を一緒に選んでくれた。


「とりあえず、こんくらいの中から選ぼうよ」





心が細い腕に大量の本を抱いて、どさっと机に置いた。


小さい頃から聞き慣れた、有名な童話ばかりだ。





三人で手分けして、パラパラと本を適当に読んでいく。




・・・・・・うー・・・ん、なんか違う。


これもボツ。



これは話は良いけど、劇にはやりにくい・・・。




こっちのはストーリー性がダメ。





「あっねえ、これは?椿好きじゃなかったっけ?」





佳保が読んでいた本を、逆さまにして
あたしに渡した。





本の表紙には、



『別れのワルツ』。




この童話は、知らない人はいないくらい有名な話。
あたしも小さい頃お母さんに読んでもらって、大好きになった。




話の内容は、見習いのヴァイオリン職人の綺麗な女の子に、王子様が恋してしまうんだ。


でも王子様は決められた人と結婚しなきゃいけないから、女の子に弾けないのにヴァイオリン作ってもらって、最後にキスして、姿を消しちゃうって話。


女の子が“見習いだから下手ですよ”って言っても、“君が作ったヴァイオリンが欲しいんだ”って言うんだよね・・・・・・。




あたしもそんな事言ってくれる人が欲しいもんだよ。





「決めた!コレにする。ありがとうね、二人とも!」

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