星は輝く・・・
あたしは舌打ちをしてやりたかったが、ここは堪えてペンキを取りに教室から出た。



ペンキは図書室の隣にある、生徒会議室に置いてあって、無くなったら取りに行くのだ。

しかもある程度の数の限りがあるから、早めに完成させなきゃならない。




のんびりと歩いていると、空の後姿を見つけた。


さっきまで教室にいたのに、もうサボリか?






小さく溜め息をつき、名前を呼ぼうとした時、






・・・・・・・・・え――――?




空の影から出てきた女の子が、空の首に腕を回してキスをした。


何の躊躇いもなく空はそれを続ける。





あたしは思わず、すぐ側にあった女子トイレに隠れてしまった。






アイツ、あんな所で何してんの!?
人に見られたらとか考えないわけ!?




つか、もう純情少年になるって言ったくせに。





やっぱり無理じゃん。





チラッとトイレから廊下を覗くと、空達はもういなかった。



あれ・・・?随分と早いな・・・。
まさかあのままどっか行っちゃったとか!?


トイレから出てペンキを取ったら、教室まで戻って、さっきの男子に渡した。



「ねえ、空知らない?」



「神矢?・・・だったらそこにいるけど」




え?



あたしは男子が指す指の方を目で辿うと、空が友達と爆笑しながら板にペンキを塗っていた。





「本当だ。いつ戻って来たの?」




「今さっき」



じゃあ、あたしの見間違いとかじゃなくて、あれは本当に空だったんだ。



・・・嘘つきめ。

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