星は輝く・・・
今は夏。

いくら教室にいても、体が溶けそうなくらい暑い。



俺は夏より冬の方が好きだ。





「あっちぃ~。椿ー、それ貸して」



椿が持っていたうちわを横から取り上げた。




「ちょっ、あたしだって暑いんだから!」




小柄な椿が俺に手を伸ばした所で、届くはずもない。
嫌味っぽく自分だけが風に当たるように扇ぐ。




椿は悔しそうな顔をして、俺を睨む。




実はこの顔が俺のツボだったりする。
なんか可愛いじゃん?
童顔のくせして頑張って怖い顔作ろうとするんだ。

馬鹿にしてるわけじゃないけど、ガキっぽくて可愛い。




どうも椿にはサドになるらしい。






廊下から女が俺等を見物してるのは、とっくに気づいてる。



そいつ等が俺の私服チェックに来て、騒いでるって事も知ってる。




自意識過剰じゃないけど、いい加減ここまで騒がれると、そんな事すぐに分かってしまうんだ。





さっきから女達は椿を冷たい目で見ている。





・・・・・・ここら辺にするか。






俺は口の端を持ち上げて、ニヤっと笑う。




「そんなに俺とイチャイチャしたいわけ?」



カナリ至近距離にある椿の顔。
うちわを取るのに必死で気付かなかったんだろうけど、椿は俺に超近づいていた。



後もう少しでキス出来そうな感じだったり・・・。




すると飛び退く様に俺から離れた椿。



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