星は輝く・・・
俺は掃除用具箱にほうきを戻している、椿の後ろに行った。
振り返った椿は、相変わらずむすっと顔。
「なんて嘘ついたの?俺」
「知らない。自分で考えれば」
不機嫌になると、とことん冷たくなるんだな・・・。
椿は俺の横を通って、自分の鞄を手に持った。
「なんなんだよ、教えろよ」
口を割らない椿にイラッとして追いかけると、“早く帰って。鍵閉めるから”と言われて、椿は廊下に出た。
俺のイライラは最高潮。
この歯がゆさが大嫌いなんだ。
ついカッとなって椿の腕を引っ張り上げた。
「ちゃんと言ってくんなきゃ分かんねーよ!」
もう一度教室に戻して、扉を荒く閉めた。
椿は少し躊躇ってるように見えたけど、やっと口を開いた。
「午前中のことで、心当たりないの?」
・・・・・・午前中・・・?
俺は思い返す。
朝学校に来て、女に騒がれて、椿とじゃれ合ったりして、その後恵子のところに・・・・・・。
俺ははっとした。
もしかして、俺と恵子がキスしてるの見たのか・・・?
「あれは・・・」
言い訳のしようもない。
拒まなかったのは事実だし、キスしたのも本当。
・・・けど、なんでそれで不機嫌になんの?
俺が今まで何しようと椿は何も言わなかった。
なんで今回は不機嫌になんの?
「純粋になるだとか言っても、やっぱり無理じゃん。賭けはあたしの勝ち?」
それは、ただ単に約束破られたから?