星は輝く・・・

俺は掃除用具箱にほうきを戻している、椿の後ろに行った。



振り返った椿は、相変わらずむすっと顔。





「なんて嘘ついたの?俺」




「知らない。自分で考えれば」




不機嫌になると、とことん冷たくなるんだな・・・。




椿は俺の横を通って、自分の鞄を手に持った。






「なんなんだよ、教えろよ」



口を割らない椿にイラッとして追いかけると、“早く帰って。鍵閉めるから”と言われて、椿は廊下に出た。




俺のイライラは最高潮。
この歯がゆさが大嫌いなんだ。




ついカッとなって椿の腕を引っ張り上げた。





「ちゃんと言ってくんなきゃ分かんねーよ!」





もう一度教室に戻して、扉を荒く閉めた。




椿は少し躊躇ってるように見えたけど、やっと口を開いた。





「午前中のことで、心当たりないの?」





・・・・・・午前中・・・?



俺は思い返す。



朝学校に来て、女に騒がれて、椿とじゃれ合ったりして、その後恵子のところに・・・・・・。




俺ははっとした。






もしかして、俺と恵子がキスしてるの見たのか・・・?





「あれは・・・」




言い訳のしようもない。
拒まなかったのは事実だし、キスしたのも本当。




・・・けど、なんでそれで不機嫌になんの?
俺が今まで何しようと椿は何も言わなかった。

なんで今回は不機嫌になんの?



「純粋になるだとか言っても、やっぱり無理じゃん。賭けはあたしの勝ち?」



それは、ただ単に約束破られたから?

< 146 / 161 >

この作品をシェア

pagetop