星は輝く・・・

「お前は・・・」





「あたしを好きって、本気?」





椿が俺の言葉を遮った。






「本気だよ」






答えると、“どうして?”と、また質問された。




「・・・よく分かんねー。言い出したら切りがないし、一つに絞れって言われても、答えられない」






恋愛は理屈で好きになるもんじゃないだろ?
何気ない衝動で、一気にオトされる。




「・・・・・・・・・・・・好きって、何?」






さっきから質問の意味がよく分からない。
好きって何って聞かれても、どう答えればいい?




「んー・・・・・・さあ。俺もよく分からない」



でも椿の事を好きだと言い切れる。
意味を聞かれると分からないけど、なんとなくの感覚で分かる。
ただ言葉に代えるのが難しいんだ。




「好きなのに、相手を傷つけられるの?思い通りにならないからって、何でも出来るの?」






「椿・・・?」






顔を赤くして、泣きそうな顔。




この顔は、アイツを考える時にする表情。
少しでも触れれば、たちまち壊れそうで、脆い。







「・・・それが“好き”なら、あたしはそんな物欲しくないよ・・・」






「おい、椿・・・」





微かに開いた窓から、風が吹き込んだ。



楽しそうで、賑やかな廊下とここの間には、一つのしきりしかないのに、まるで温度が違う。


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