星は輝く・・・

あたしの前まで来た空は、小さな溜息をついて
頭をぽんっと撫でてきた。


「苦しいなら泣けば?」


上から目線。


だけど、捻くれた喋り方の裏には、照れ隠しがあるの、
知ってるから許す・・・。



「うぅ~~~空~~~っ」


柄にもなく声を出して泣き出すあたし。
もう無理。我慢できない。

あの日から泣きたくても泣いてないもん。
やっと出たと思ったら、こんな・・・空の前で泣き出すし・・・。

小さい子供みたい空のTシャツをしっかり掴んで離さない。


「・・・っ」

下駄箱にも関わらず空はあたしの体を引き寄せて、抱き締めた。

抱き締めたと言うより、包み込むような感じだ。
そっと壊れ物を扱うような。



初めて感じた幼馴染の体温は妙に暖かいような、冷たいような・・・。

空の付けている香水があたしの鼻を掠める。


安心する。
空は他の誰よりも安心する。


雄太でも他の男子でもなく、空が安心するのは、
なんでかな・・・。



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