星は輝く・・・
ワザと嫌味ったらしく言ってから空の頭を叩くと、あたしの髪の毛を引っ張っていた手で、その手を掴まれた。
「違うって言ったら?」
さっきまでふざけていた空じゃなく、いつも見せない真剣な顔。
「・・・・・・・・・・・」
沈黙と静寂な雰囲気が、あたし達を取り巻く。
夜風とこのイケメンのせいで、幻想的でロマンチックな場面になってしまう。
・・・違う、違う。
あの空とロマンチックな雰囲気になるわけないじゃん。
「また、いつもの冗談?」
空は危ない。
なんか、あたしじゃなくなるみたい。
最近の空はあたしを狂わせてばかりだ。
こんな顔も、抱き締められた時に感じた男らしさも、あたしは知らなかった。
知らない物を知っていくのは怖いんだよ。
「そんな困った顔すんなっつーの」
手を離した空。
手首から暖かさが逃げていく。
「からかうのやめてよ。あたしってば意外と自意識過剰だから、本気にしちゃったら怖いよ?」
もちろん、自意識過剰なんて大嘘だ。
コミュニケーションをとる為の、空とは違った、心臓に優しい冗談。