星は輝く・・・


ワザと嫌味ったらしく言ってから空の頭を叩くと、あたしの髪の毛を引っ張っていた手で、その手を掴まれた。




「違うって言ったら?」



さっきまでふざけていた空じゃなく、いつも見せない真剣な顔。


「・・・・・・・・・・・」



沈黙と静寂な雰囲気が、あたし達を取り巻く。



夜風とこのイケメンのせいで、幻想的でロマンチックな場面になってしまう。




・・・違う、違う。
あの空とロマンチックな雰囲気になるわけないじゃん。



「また、いつもの冗談?」



空は危ない。
なんか、あたしじゃなくなるみたい。
最近の空はあたしを狂わせてばかりだ。


こんな顔も、抱き締められた時に感じた男らしさも、あたしは知らなかった。


知らない物を知っていくのは怖いんだよ。





「そんな困った顔すんなっつーの」



手を離した空。



手首から暖かさが逃げていく。





「からかうのやめてよ。あたしってば意外と自意識過剰だから、本気にしちゃったら怖いよ?」



もちろん、自意識過剰なんて大嘘だ。
コミュニケーションをとる為の、空とは違った、心臓に優しい冗談。



< 88 / 161 >

この作品をシェア

pagetop