未来日記に憧れて
「あ、メール。『<未来日記>楽しく食事を終えた私達は、○×ビルに向かいウインドショッピングを楽しんだ』ですって」
「そっか。じゃあそろそろ出て向かおうか」
守さんに促され、次の目的地であるビルに向かう。ここは最近リニューアルされたスポットで、中にはファッションや雑貨のショップが入り、最上階は展望台になっている。デートスポットとして注目の場所で、一度来てみたいと思っていたのだ。
「うわー、結構混んでますね。日曜日だけあって人がいっぱい。しかもカップルだらけ」
「俺達も周りから見たらそう見えるのかな?」
微笑みかける守さん。でもまだ目が合うと少し緊張してしまう。
「どこ行こっか?何か気になるお店とかある?」
2人並んでショップリストを眺める。
「うーん……ココとココとココかなぁ。守さんは?」
「俺、ココとココ。じゃあ1つずつ回っていこう」
「はい♪」
その後、たくさんのショップを回りながら私達は色々な話をした。お互いの趣味や好きなものについて。普段休みの日にはどんな事をしてるのか。友達とか、家族やペットのこと。話は尽きなくて、すごく楽しくて。あっという間に時間は過ぎていった。
陽が暮れ始めた頃
「いっぱい回ったね~。さすがにちょっと疲れたかな?」
「そうですね。でも楽しかったから大丈夫ですよ」
「どうしよう。展望台、行こうか?」
迷っていると一通のメールが届いた。
『<未来日記>楽しい時間はあっという間。もう少し一緒に居たかったけど、私は彼に別れを告げ帰宅した』
「ダメみたいです。ホラ」
そう言って私もケータイを彼に見せる。
「そっか。残念だけどまた来週、かな」
「そうですね」
「じゃあ駅まで送っていくよ」
「ありがとうございます」
駅までの道も、お互いの事を少しでも知ろうと会話を続ける。
「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました」
改札をくぐり、ホームへと降りる階段で会釈をする。
「俺も楽しかった。じゃあ、またね」
「はい、また」
電車へ乗り込むと軽く手を振り、ドアは閉まる。
はぁ、凄く緊張した。けど守さん、優しくてステキな人だったなぁ。
余韻に浸りながら電車に揺られ、帰宅したのだった。
< 4 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop