夢列車
散策
盛り上がった私達は、テンションもそのままに喫茶店を飛び出した。
せっかく仲の良い友人達と街へ繰り出しているのだ。だらだらと時間を浪費したくはない。
特に目的もなく商店をねり歩く。目につく品物に口々に感想(というほど大したものではないが)を述べて笑う。
飽きれば再び他愛ないことを語り、笑いながら散策する。
これも生産性があるとは言えないけど、清く正しい高校生はお金がないのだ。
3人でアーケードの下を歩く。最近近くに大型のスーパーが出来たので人通りは少ない。
学校でも、遊ぶと言ったらスーパーだ。映画館からゲーセン、服に鞄にファーストフード。何から何まで揃っている。
娯楽の少ない田舎で流行るのは当然だ。
もっとも、私達はそんな風潮に正面から逆らっているわけだけど。
別にポリシーとかそういうわけではない。こちらも若い身空、流行は嫌いじゃないのだ。
理由は単純。唯一彼氏持ちの茜がよくデートに使うからたまには別の場所でと言ったからだ。
特に反対意見もなかったので、こうして久しぶりに寂れたアーケード街を歩いている。
「結構、寂しくなってますね」
詠美が周りを見ながら染々とつぶやいた。
その気持ちは痛いほど解る。数年前までは、ショッピングと言えばここだった。
だというのに、今やシャッターの降りた商店が並び、開いていても閉店セールの貼り紙がちらほら。
流行り廃りは世の常とは言え、ここまで明暗が別れれば感じるものもある。
私も小さい頃親にCDをねだった店が無くなっていて、物悲しくなっていた。
「あ……」
茜がそう言って立ち止まった。
私と詠美も続いて、茜の視線を追う。
あちこち塗装が剥がれ、汚れが目立つ店の看板。
そこには「宮田楽器店」と書かれていた。
せっかく仲の良い友人達と街へ繰り出しているのだ。だらだらと時間を浪費したくはない。
特に目的もなく商店をねり歩く。目につく品物に口々に感想(というほど大したものではないが)を述べて笑う。
飽きれば再び他愛ないことを語り、笑いながら散策する。
これも生産性があるとは言えないけど、清く正しい高校生はお金がないのだ。
3人でアーケードの下を歩く。最近近くに大型のスーパーが出来たので人通りは少ない。
学校でも、遊ぶと言ったらスーパーだ。映画館からゲーセン、服に鞄にファーストフード。何から何まで揃っている。
娯楽の少ない田舎で流行るのは当然だ。
もっとも、私達はそんな風潮に正面から逆らっているわけだけど。
別にポリシーとかそういうわけではない。こちらも若い身空、流行は嫌いじゃないのだ。
理由は単純。唯一彼氏持ちの茜がよくデートに使うからたまには別の場所でと言ったからだ。
特に反対意見もなかったので、こうして久しぶりに寂れたアーケード街を歩いている。
「結構、寂しくなってますね」
詠美が周りを見ながら染々とつぶやいた。
その気持ちは痛いほど解る。数年前までは、ショッピングと言えばここだった。
だというのに、今やシャッターの降りた商店が並び、開いていても閉店セールの貼り紙がちらほら。
流行り廃りは世の常とは言え、ここまで明暗が別れれば感じるものもある。
私も小さい頃親にCDをねだった店が無くなっていて、物悲しくなっていた。
「あ……」
茜がそう言って立ち止まった。
私と詠美も続いて、茜の視線を追う。
あちこち塗装が剥がれ、汚れが目立つ店の看板。
そこには「宮田楽器店」と書かれていた。