私の愛する憂鬱
ビコーズ アイ ラブ ユー
なにも考えずに、ぼーっと帰り道を歩いていたらいつの間にか家に着いていた。
我が家の庭のフェンスを隔てたすぐ隣の家は、アイツの家だ。
三年間、ずっと住人のいない“空き家”だったその家は、すっかり“夏目家”に戻っていた。
欧州かぶれの悠の両親らしい、イングリッシュガーデン。
車は高級外車。
ちなみに補足しておくと、表札もローマ字表記で「NATSUME」だ。
そんな両親は、息子をフランスに留学させて挙げ句の果てに自分たちも付いていく始末。
まぁ、そんなぶっ飛んだ悠の両親が結構好きだったりするんだけど。
うちの玄関に入ると、綺麗に並べられた靴が3足あった。
靴のサイズ、大きくなったんだ、
そんなことを思っていたら奥から人が出てきた。