私の愛する憂鬱
憂鬱ガール
「はぁ……。」
朝起きてから、何回目の溜め息だろう。
憂鬱と、少しの緊張を孕んだ溜め息だ。
二度と会いたくないと誓った相手なのに、会えると思うとなんとなくそわそわしてしまう自分の単純さに腹が立つ。
「なに溜め息なんてついてんの。今日は久しぶりに悠くんが帰ってくるんだから、早く学校から帰ってきてね。」
マグカップにコーヒーを注ぎながら、ママが上機嫌に言う。
そうだ……学校。
悠が帰ってくるとなると、学校はいろいろめんどくさいことになるに違いない。
重い足取りで靴を履き、家を出た。
玄関のドアを開けると同時に、ひんやりとした空気が体全体を包んだ。
肺が、冷たい空気を一気に取り込むのがわかる。
十二月になったこともあって、外はかなりの寒さだ。
日本はいつのまに氷河時代に逆戻りしたのだろうか。
「いよいよ冬本番か…。」