童貞狂時代
19歳大学1年の終わりに、告白して振られたあと3ヶ月くらいした後、大学の掲示板のガラス戸の前で鉢合わせた。その時、僕が声をまたかけてしまったから走って逃げていった。振られたあと、運が悪いことに彼女と必修科目の英語が同じクラスだと掲示で見た。その授業には結局一回しかでずに、大学自体にもいかなくなっていった。
上野の街をふらついてホームレスと一緒に灰皿にたむろして煙草をふかしたり、電車で山手線一周したり、無為に過ごした。
 家族と喧嘩になった。父は、「オウムに入れ、頭おかしくなったのか?」 姉には、「甘えてガキだね」と言われてしまったがいまでは良い思い出。
 僕は家の壁に約十四箇所素手で穴をあけた。当時、極真空手をやっていたということもあり、拳は傷まなかったが家族を間接的に痛めつけた尤も精神的にはあまりも直接的にね。いまでも母や姉にとってはトラウマ以外の何物でもない体験だったに違いない。直接的に暴力は振るわなかったが、家は崩壊、家族は破綻した。僕という巨大な不良債権を抱えて、家族の歯車は急速に狂ってしまった。子供の頃が懐かしくて仕方なかった。いつも母と姉と僕で西武デパートに出かけていた小さい頃・・・。いまはもうあの頃の楽しい家族ではないそう思うと…嘔吐した。
 大学の中庭ではいつもサークルの男女とか、明らかにカップルな二人、ゼミ生などで盛り上がっていて、一人そこを素通りしていく自分がいつもひどく虚しく辛かった。異性から好かれたいのに関わりさえできない、しかしほとんどの男子学生は女子学生と楽しそうにしているそんな気がして死にたくなった。不愉快、憎い、辛い。感情の洪水に押し流されていつも僕は独りぼっちだった。
 
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