樹の下で、君を想う。
「美由ーっ
お弁当食べよ!」
「うんっ!
じゃあ中庭行こうよ」
私の学校の中庭は
このお昼時間は大賑わいだ
「いいねぇ♪
あ、私友だちにノート返してこなきゃ!」
「じゃ、先行ってるねぇ」
ザザザッ
中庭に全く人はいなかった
そうだ、私のクラス早く終わったんだった。
いつも賑わっている中庭が静かだと
なぜか違う場所に思えてしまう
そんな時、1本の樹が私の目を奪った。
【恋樹(レンジュ)】
この樹が恋の叶う樹か…
本当に叶うのなら
「優ちゃんが好きだって
いつかここで告白できるといいな。」
どうせ叶わないと思いながらも
叶ってほしいと心から願った
―――だれかが聞いているのも知らずに。