実らない片想い ~紗々の恋と友情~

あたしは、少しでも見ないように、上矢くん達の居る席の反対側から自分の席へと回る。

だけど…

「あ、清水さんおはよう!」

椅子を引く音で気付いたらしく、いつものように挨拶される。

『…おはよう』

無視する訳にも行かないから、意を決して上矢くんの方へ言いながら、顔を向ける。

その瞬間美羽と目が合ってしまった…。

…なんで、美羽がそんな泣きそうな、困ったような顔するの…?

――ガラッ

「おい!早く席つけー!」

担任の声に、まだ立ったままだった生徒がバラバラと席に戻る。

あたしも、美羽から目を離すと席に座る。


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