君が笑うなら
暴走
バイク音がけたたましく鳴り響く。
「もう俺のことはほっとけよ!」
「頼む、目を覚ましてくれ!
昔のお前に戻ってくれ…!」
「っせー、お前なんざ知らねーよ!」
深夜2時。
閑散とした道路に、
2人の怒鳴り声が響き渡る。
「っくそ…!」
前方にいたバイクは、
速度をさらにあげ、
車線を無視して突っ走る。
「待っ…あっ、伸也っ」
後方のバイクからの声と同時に、
伸也と呼ばれた男を
眩しい光が包み込んだ。
パァー
激しいクラクションに耳を傾ける間もなく、
伸也の身体はバイクと共に押し飛ばされた。
そして――――…
ドンッ
振り返ると、
1人の男と一台のバイクが
宙を舞った。