君が笑うなら


一目散に駆け出していく相原舞を目で追いながら、


これでいいんだ、
これでいいんだって
自分に言い聞かせる。




ふと病室を覗き見ると、
あたたかく見守る医師達の中、
相原舞は直樹に抱きついて
とても幸せそうに 嬉しそうに
泣いていた。
そして、笑っていた。



俺に見せた優しい笑顔とは違う。
報われたような、
嬉しくてたまらないような、
はじけるような笑顔で。




そのとき俺は、
さっきの疑問が解けた気がした。




たとえその目線の先が、
俺じゃなくても。


できることは全部してやる。
君も直樹も、うまくいかないとき
そんなときのピンチヒッターでもなんでもいいから。

困ったら助けてやりたい。
何からも守ってやりたい。


俺の全てを、
君に捧げたい。



なあ そうさえすれば
俺は暗い過去も 辛い現実も
乗り越えられる気がするよ。



ただ、君が笑うなら。


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