君が笑うなら
「…槙原直樹、どこだ」
受付の看護婦に尋ねる。
看護婦はあからさまに嫌な顔をして、答えた。
「312号室ですが、
今は意識不明ですので
お見舞いは今度にしていただいた方がいいかもしれません」
表なんかを見ないでさっと答えたところをみると、
何人もの人が槙原直樹を訪ねているのだろう。
そして、
意識不明と聞いて
諦めて出直すのだろう。
「……」
こっちは、
だから会いに来たんだ。
起きられてちゃ、
またやいやいうるさいからな。
俺は踵を返し、
312号室へと足を運んだ。