Bremen
「不器用な奴だよ、お前も」
バードはウズメの頭をワシワシと、少し乱暴気味に撫でた。
「明日は早いからな。
もう寝る。
……風邪ひくなよ」
後ろ手に手を振りながら、バードはテラスにウズメを残して塔の中へ戻って行った。
ウズメは少し残念そうな、それでいて呆れたような笑みを浮かべて溜息を一つ。
バードの後を追うようにテラスを去った。
………翌朝。
朝日が昇る中、虹の橋立の根本に佇む影が一つ。
人の姿をしているが、あまりにも巨大な影……
『弦楽震ストレグン、奏臨』
黄金の鳴流神・ストレグンが、朝日を浴びて煌めきを放っていた。
『さて………
まず、長距離戦ができるのは他にも居るってことを教えてやらないとな』
ストレグンは轟震弦を手に取ると、斬撃に使う時とは違う持ち方で構えた。
両手でしっかりと、弓を引き絞るように!
ギギギギ………
一杯まで引かれた弓に光の矢が出現し、つがえられる。
『挨拶代わりだ。
受け取れっ!!』
シュバシッ!!
轟震弦から放たれた光の矢は、空を裂き、音を超え、地平の先へ向かって飛び去って行った………