Bremen
 
「な……んてこった………
伝説の鳴流神(ナルカミ)が本当に存在したとは!
そして鳴流神を呼び出したってことは、あの若造は『奏者』か!!」

盗賊の頭は黄金の楽機を目の当たりにし、背中に冷たいものを感じていた。


音界スコアに住む者の、誰もが幼少の頃に聞かされる鳴流神の伝承。

『悪事を働けば、必ず鳴流神に懲らしめられる』

そう言い伝えられる鳴流神は『荒ぶる音色を奏で、一切の邪悪な音を絶つ巨神』とされている。
その記憶が幼い頃から身に染みているからこそ、悪に染まった者達は鳴流神と、それを操るとされる『奏者』の存在に恐怖するのである。


事実、弦楽震ストレグンは盗賊の頭が操縦するアコーディオン楽機の倍もの巨体であるため、それだけでも十分恐怖の対象と成りえていた。

「ぐうぅ……
デカけりゃ強いってもんでもあるまい!
鳴流神がどうした!
俺様のアコーピオンでスクラップにしてやらあっ!
食らえ、砂乱舞!!」


フシュウウウッ!!


アコーディオン楽機の蛇腹が最大まで空気を吸い込み、


ブシュウオオオッ!!


吐き出す突風によって砂の散弾が射出され、ストレグンを襲う!

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