Bremen
『アディオス』
ビュオン
弦を弾くストレグン。
その振動を受けて、アコーディオン楽機の巨体が揺らぐ。
ズ……
ズウゥゥ………
ッシャアアンッ!!
アコーディオンの胴体はゆっくりと上半分が斜めにずり落ち、砂煙を上げて大地に倒れ伏す。
たまらず盗賊の頭が倒れた楽機から這い出て来た。
「な、ん、だとぉ〜っ!?
俺のアコーピオンがぁ〜!!」
よほど大事だったのか、無惨な姿の楽機を仰ぎ見て泣き始める盗賊の頭。
戦いを終えたストレグンは巨体を光の粒子に変え、天へと戻って行く。
ストレグンが消え去った後にはバードの姿があった。
「爆発しなかっただけでも幸運だったな。
今後は真面目に働いて、その楽機を修理してやりな」
砂嵐が消えて澄み渡った青空の下、バードはマントをたなびかせて再び歩き始めた。
「さて、急がなくてはな。
この国に居るという、俺と同じく『奏者』の宿命を持つ者を」