Bremen
「!?
今のは精霊の託宣か!?
北西の山を越えた先に奏者が居る、と……」
次の日、早朝から旅支度を始めるバード。
ソナも物音に気付き、まだ眠そうな顔をしながらゆっくりと起き上がった。
「ふみゃ〜……
バード、おはようニャ。
もう出発するのニャ?」
「ああ。
俺が探している奏者の手掛かりが見つかった。
お前のおかげでな」
「み??」
バードの言葉に対するソナの態度から昨夜の託宣は、無意識下のソナの身体を借りて精霊がやったことのようだ。
しかしバードは昨日の託宣に疑問を感じていた。
内容に関してではなく、
(あの託宣、何の精霊が俺に告げたんだ?
鳴流神や奏者に関係ある精霊だとは思うが、あるいはソナの守護霊………
後者であれば、ソナも鳴流神や奏者に何かしらの接点がある者ということに……)
「さっきから手が止まってるニャ。
もうソナは出発できるニャ♪」
思考を巡らせるバードをソナが急かす。
(今は考えても答えは出そうもないな)
今日から旅は二人。
孤独ではない。
「よし。
出発だ、ソナ。
山を越えて、向こうの街まで行くぞ」
「はいニャ!」
朝日に照らされた二人の影は、まだ眠りに静まる街の往来を後にした………