Bremen
 
「頼み?
………この大食い猫耳娘が世話になったからな。
あまり込み入ったことでなければ引き受けよう」

話を聞くため、カウンター席に腰掛けるバード。
女店主は腕まくりした太い腕を組み、しかめっ面で話し始めた。


「ウチの店の向かいに住んでる男のことなんだがね………
最近全然仕事をしなくなっちまったんだよ。
何度か様子を見に行ったり、食事を持って行ってやったりしたんだが、どうも元気が無くてね。
何かあったのかい?って聞いたら、
『ここ最近、夜中に幻聴がするようになって眠れない』
だってさ。
腕の良い楽機職人だからね、また職場復帰して欲しいんだけど……
あんた達の力で何とかできないかね?」


頬杖をつき、目を閉じて話を聞いていたバードだったが、

「俺は医者じゃないんだがな。
頼みを引き受けると言った以上、会うだけ会ってみよう。
そいつの名前は?」

「スネアってんだよ」

「スネア、か……
早速会ってみるか。
ソナ、行くぞ」

ウルトラ(中略)あんみつを食べ終わり、喉をゴロゴロ鳴らしながら満足顔で長椅子に丸まっているソナの尻尾を引っ掴み、バードは店を出た。

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