Bremen
 
「バード、幻聴って何ニャ?」

「聞こえるはずの無い声や音が聞こえた気がするという、一種の病気だ。
一般的にはストレスや疲労が原因だと言われている」


「ふ〜ん………
じゃあ、ソナが精霊の声を聞くことができるのも病気なのかニャ?」

「それは違………!?
スネア!!
幻聴の内容を覚えているか?」

バードはソナの言葉にハッとし、スネアに問い詰めた。

「………ああ。
断片的にだが………
ソウシャとかナルカミだとか、お伽話に出て来る言葉が聞こえたな。
大人になった今、何で子供の頃に聞かされた話の内容が聞こえて来るのか………」


バードは確信した。
ソナの身体を使って、精霊と思われる存在が自分に伝えた託宣の内容と一致している。

(山を越えた先の街に、まだ覚醒していない奏者が居る……
つまり、このスネアは奏者!
しかしどうすれば良いんだ?)


いきなり事情を説明して、旅に同行してくれと言ったところで信用するとは思えない。
ましてや無気力の男だ。
説得するのは至難の業だろう。


「無理矢理外に引きずり出すのは逆効果だな。
自分で立ち上がってもらわなければ………」

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