Bremen
「バード、ソナに任せるニャ。
この人に、元気になってもらえば良いのニャ?」
そう言ってスネアの前に立ったソナの手には、楽器が握られていた。
「それは鍵盤ハーモニカか?
ソナ、その楽器をどこから?」
「これ、鍵盤ハーモニカっていうのニャ?
ケットシー族なら誰でも持ってる楽器ニャけど、ソナのは巫女用の特別製なのニャ」
鍵盤ハーモニカ……
誰しも一度は目にしたことがあるであろう。
手に持てる鍵盤本体の片側にパイプ状(もしくはホース状)の吹き口をはめ込んで、息を吹き込みながら演奏する楽器である。
ソナはパイプ状の吹き口を本体にはめると、楽しげにステップを踏みながら演奏し始めた。
「やるじゃないか、ソナ。
まさかここまで上手く演奏できるとは思わなかったぜ」
いつしかバードはソナの吹く曲を聴きながら、軽く足でリズムを取り始めていた。
奏者としての性がそうさせるのか、やがてリズムを取るだけでは飽き足らず、背中のギターを取り出して伴奏を始める。
「ニャ♪
バードとセッションニャ!」
ソナは嬉しそうに踊り出した。