Bremen
 
「な……んだ?
心が溶けてゆくような、胸が熱くなるような不思議な気分だ………」


スネアは壁に目をやった。
そこに飾られているのは、使い古されて黒ずんだドラムスティック。

「スネア、音楽を楽しむ心を………
魂を震わせる旋律を!
呼び覚ますんだ!!」

バードの声がスネアを椅子から立ち上がらせた。
そしてそのまま壁のスティックを掴むと、部屋の中にある家具をドラム代わりに片っ端から叩き始める。


………昼過ぎから始まった三人の演奏は夕方まで続いた。

「ふにゃ〜……
疲れたけど楽しかったニャ!」

埃まみれの床に、汚れることなど構わずソナは大の字に倒れた。
拍子に全身の汗が飛び散り、窓の隙間から差し込む夕日に煌く。

「俺も流石に疲れたな。
どうだ、スネア。
一杯飲みに行かないか?」

「ああ、俺も喉がカラカラだ。
………バード、ソナ。
ありがとう。
こんなに楽しい思いをしたのは久しぶりだ」


外に出ると、涼風が熱くなった三人の身体を優しく撫でて行く………

「ふっひゃあっ!
風が気持ちいいニャ!」

『う〜んっ』と伸びをして全身に風を受けるソナ。
大飯食らいであることを除けば、ソナは健康的な美少女だ。

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