Bremen
「………ん?
バード、あっちの方から火の臭いがするニャ」
風に混じる煙を感じたのはソナだけでは無い。
夕焼けと錯覚しそうな巨大な火が、天を衝く勢いで燃え上がっている!
「山火事だ!!」
バード達が越えて来た山が炎に包まれている!
熱気は街まで届き、降り注ぐ火の粉が家屋をチリチリと焼く。
「このままでは鉱山が爆発して、街が跡形も無く吹っ飛ぶぞ!
ストレグンを召喚して山火事を防ぐしか手は無いか………」
帽子から羽根を抜き、トオンの紋章を宙に描くバード。
召喚の呪文を唱えようとしたその時、スネアが叫んだ。
「バード!
その紋章………
くっ、足が………熱い!」
左足の膝を押さえてうずくまるスネア。
作業ズボンを捲くってみると、膝にトオンの紋章が光っている!
その光が輝きを増し、燃える空に向かって伸びた時………
雷雲と共に五線の円が現れた!
「まずい!!
奏者が契約もせず、呪文を使わずに鳴流神を召喚すれば………
鳴流神は暴走する!」
バードの叫びも虚しく、五線の召喚円から光を放ちながら鳴流神が姿を現し始めた………