Bremen
影から飛び出したヒドゥムと名乗るシジマを見て、スネアは思わず声を上げる。
「何だ、こいつは!?
シジマってのは、人間じゃないのか!?」
黒い身体に黒い足。
だがそれ以外は、どう見ても人間では無い。
「カラスの成り損ないか…」
バードの表現は的確だった。
確かにカラスの姿に近い。
翼は無いが、上半身は黒い羽毛に覆われており、肘から先の腕は鳥の足のようだし、何より頭はカラスそのものなのだ。
「これがシジマだ。
こいつらは人であることを捨て、『無音』を崇拝する道を選んだ連中。
世界の……敵だ!」
バードがギターネックを握ってギターから引き抜くと、ギターからは細剣の刀身が現れた。
「奏剣、アコースパーダ……
奏者の武器でなければシジマは倒せない。
行くぞ!
鳴流神の使役だけが奏者の能力では無いことを教えてやる!」
剣を構えるバードを嘲笑いながら、両手の爪を光らせるヒドゥム。
「身の程知らずの奏者め!
四門将に……
シジマに挑んだことを、無音地獄に墜ちた後で悔やむがいい!」