Bremen
恐るべき禍嗚主
ガギィッ!
激しくぶつかり合う剣と爪が、鈍い金属音を鳴らす!
このヒドゥムという者、伊達にシジマの四門将を名乗るだけあって強く、バードと一進一退の攻防を繰り返していた。
「ち、やるじゃないか。
カラスの分際で」
「貴様もな。
奏者ってのは鳴流神が無ければ何もできないと思っていたが………
ククク、なかなかどうして。
案外楽しめそうだな」
鍔競り合いから同時に後ろへ飛び退いて間合いをとる二人。
ヒドゥムは身体を覆う羽根を指の間に挟んで毟り取り、手裏剣のようにバードへ飛ばして来た!
「小細工を!」
バードはアコースパーダを、下段の構えから上へ斜め一閃!
たった一振りで、細剣の刀身には投げられた全ての羽根が貫かれていた。
「次はお前自身が、焼鳥のように串刺しになってみるか?」
「ぬう……っ!
少しばかり、奏者をナメ過ぎていたか………」
バードの剣技を目の当たりにし、たじろぐヒドゥム。
「この程度の基本的な技でいちいち驚かれてもらっては困る。
ぼちぼち貴様も本気を出したらどうだ?
そう………
貴様もシジマの将なら、持っているんだろ?
禍嗚主(カオス)をな」