Bremen
「禍嗚主……!?
鳴流神が音楽を司る象徴なら、禍嗚主は静寂の象徴………
奴は、その禍嗚主を喚び出すことができるというのか!?」
「そう考えるのが普通だ。
でなければ、奏者と鳴流神を抹殺するなどという大口は叩けまい」
スネアの疑問に対し、バードは推測を述べる。
するとヒドゥムは気味悪い声で笑い出し、
「ククク……
その通りだ。
生身の奏者を殺すのに、わざわざ禍嗚主を召喚するのも馬鹿馬鹿しいと思ったが……
あえて挑発に乗ってやるか。
見るがいい!
この世界に静寂と無音をもたらす巨神、禍嗚主の姿を!!」
ヒドゥムがその鋭い爪で、宙に紋章を描く。
それは音楽記号の4分休符に酷似し、トオンの紋章と対極の意味を成す紋章『ザイレオンの紋章』だった。
「無音の闇
静かなる混沌
世に満ちて響きを閉ざせ
黒き炎に焼かれし咎人よ
ザイレオンの名の元に
音無き深淵より来たれ
我は喚ぶ、汝の名……
影喰王クルォワッハ!!」